映画紹介『007は二度死ぬ』

007は二度死ぬ サムネ

おすすめ度:★☆☆☆☆

はっきり言って駄作。しっかりした造りの映画を見たいという人には不向きで、おなじみの007シリーズを見飽きた時に興味本位で楽しむのがおすすめ。

あらすじ:

アメリカとソ連の宇宙船が正体不明の飛行物体に捉えられ、両国は一触即発状態になる。MI6は飛行物体が日本周辺から飛び立っているという情報をつかみ、ジェームズ・ボンドを日本に派遣する。ボンドは敵の目を欺くために、香港の売春宿で殺し屋に銃撃されるという筋書きで死を偽装する。ボンドはビクトリア・ハーバーでイギリスの巡洋艦上で水葬されるという偽装工作を経て、潜水艦で日本へ潜入するのだった。

コメント:

「007」シリーズにおいて初めて日本で撮影された作品で、ツッコミどころも満載となっている。

まずストーリーだが、原作のあらすじを完全に無視している上にかなりのゴリ押しである。極めて現実性に乏しく、視聴者側の感情に馴染まない。演出も、CGなどがない時代で無理にSF要素を取り入れ模型による撮影で補ったため、ものすごく安っぽい。さらにボンドが全く日本人に化けれておらず、背は高く彫は深いため日本人には到底見えず、ただただ違和感の塊と化している。極めつけに、公安の特殊部隊員が忍者というお決まりの畳みかけには思わずうんざりしてしまう。派手でかっこいい、洋画然とした007を期待して見ると興ざめするので注意。

お粗末な点も多いが、舞台となった東京の風景は見所である。1964年の東京オリンピック開催から間もない時代であるため、高度経済成長期真っ只中の華やかな東京が映画全体の雰囲気を醸し出している(もっとも007である必要性がないのだが)。役者も豪華で、丹波哲郎(『戦艦大和』など)といった名優や佐田の山(第50代横綱)などの有名人を起用している。終盤でブロフェルドの猫の強張った顔がアップに映し出されるシーンは乙な演出である。個人的には、田中がタバコ型仕込み銃の説明をして「長生きをするためのタバコだよ」と言い、それにボンドが「コマーシャルみたいだな」と返すやりとりが気に入っている。

一言でいえば派手な張りぼてのような映画。様々な面で必要性を感じない造りに加え豪華な役者の顔ぶれを見ると、007のような世界とは縁遠い日本に売り込むために作られた映画であるようにも思える。

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