映画紹介『プライベート・ライアン』

プライベート・ライアン サムネ

おすすめ度:★★★☆☆

監督スピルバーグによる言わずと知れた戦争映画。最近世界大戦がテーマの映画をよく見ているが、戦争ものは立て続けて見ていると気が沈んでくるので一本ごとに休憩を挟みましょう。

トム・ハンクス、マット・デイモンのほか、『ブラックホーク・ダウン』や『パール・ハーバー』、『ロックアップ』でおなじみのトム・サイズモア、そしてヴィン・ディーゼルが出演している。「プライベート」とは「~等兵」とつく階級の兵士の総称、または「兵卒」の意。

あらすじ:

第二次世界大戦、アメリカ軍によるノルマンディー上陸作戦は凄惨を極めた。この作戦で失われた兵士の中に、ライアン家の兄弟三人がいた。母親の下に三人の戦死公報が届けられたが、兄弟のうち四人目のジェームズ・フランシス・ライアン二等兵の安否だけが不明のままだった。ライアン二等兵は上陸作戦の前日、パラシュート部隊として上陸したまま行方が分からなくなっていた。軍上層部はすぐにライアン二等兵を救出する部隊を編成すべく、ミラー大尉、ホーヴァス一等軍曹、ライベン一等兵、ジャクソン二等兵、メリッシュ二等兵、カパーゾ二等兵、ウェイド四等特技兵兼衛生兵、そしてドイツ語とフランス語が話せるアパム伍長を救出部隊に抜擢した。しかし彼らが探すライアン二等兵の居場所はおろか、彼が生存しているのかさえ定かではなかった。

コメント:

やや低めの評価にした理由は、監督や役者それぞれの持ち味が死んでいると感じた事。スピルバーグの持ち味は『E.T.』や『ジュラシック・パーク』のようなSFやファンタジーに見られる突飛な発想であり、戦争映画という題材ではあまり生きてこない。さらにマット・デイモンも生き証人の役割を担っているが、戦闘では大した役割を果たしていないのがどこかもったいなく感じた。始終、マット・デイモンの生存フラグが見え見えであり、危ない状況にも陥らないので、加護でもついてるのかというくらい死ぬ気配がなく、彼に対する緊迫感だけがあまり感じられない。しかしながら、作り手の力不足というわけではなく、配役や相性の問題であるように思えるのがなんとも言えない。

ただ、名作と言われるだけあって見所も十分にある。特にカメラワークが個性的で、ロングショットの場面が多い。廃墟の二階の窓から戦車の操縦席に火炎瓶を投げ込むシーンは、あえてアングルを切り替えないところにこだわりを感じた。このシーンは何年も前にCMで一度だけ見たのだが、映画で見るまではっきりと覚えていた程だ。戦車のキャタピラに靴下爆弾を付けるシーンでも、爆弾が思ったより早く爆発してしまい爆弾を付けていた兵士が跡形もなく吹き飛ぶシーンも印象的である。こういった画で印象を与える演出もこの映画の持ち味だ。そして冒頭のノルマンディー上陸作戦のシーンがもっとも緊張感や臨場感にあふれていると言ってもいい。戦場の生々しさを伝えていて、掴みとしては十分なインパクトを持っている。そして、アパムが情に絆され逃がしたドイツ兵。アパムと彼の複数回にわたる邂逅には何の意味があるのか。それは最後にアパムが彼に銃を向ける場面で分かる。アパムはこのドイツ兵に出くわしても戦わない。しかし最後は彼を自らの手で葬る。その原動力が重要な意味を持っている。アパムは怒りに満ちた顔で引き金を引くが、この怒りは仲間を守れなかった怒りではなく、仲間のために戦わなかった自分に対する怒りなのではないだろうか。そしてあの時彼を殺さず逃がした自分の甘さに対する怒りだ。アパムは確かに未熟なのだが、無抵抗の相手を殺してはならないという、頑なに守っていた自分の中の信念を最後は自分で曲げてしまった。見ていて、アパムは怒りはしても殺しはしないだろうと予想していただけに意外だった。怒りに引き金を引くなら階段で出くわした時だったのではないか、そして引き金を引かずぶん殴っていればアパムはどう変わっていただろうと考えてしまう。

優秀な作品なのだが、第二次大戦をテーマにした映画が氾濫している中でこの映画だけがずば抜けて突飛かというと、やや物足りないものがある。

映画紹介『プライベート・ライアン』” への3件のフィードバック

  1. 始めて見た時は終盤で出てきた戦車を拳銃で破壊したかと思ったぜ。良く見たら戦闘機だったのねぇ…けっこう良い映画だと思うぜ!もし、良ければゴッドファーザーやサブウェイ・パニックをオススメするから見てくれよな!

    それとぺパロ二のピッツァはまだ届かないのかい?

    1. 私も君とおんなじことを思ってた・・・(拳銃で戦車破壊)。こいつぁ最高の映画だぜ、見逃す手はない。
      おすすめ、ありがとYO! 「ゴッドファーザー」もいい映画だったなぁマヌケぇ。当然だぜ、野沢那智版と山路和弘版をわざわざ両方見た俺に勝てるもんか。「サブウェイ・パニック」もいい感じだ。

  2. この映画のおかげで名探偵コナンの鈴木園子の母親をグーで殴りたくなったぜ
    だけどな、規制推進派、お前らが規制法を実行したら、その道連れとして図書館戦争の笠原郁への男女平等パンチでも喜んでやるぜ

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