映画紹介『フルメタル・ジャケット』

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おすすめ度:★★★★★

成れの果ての狂気とはき違えた自由が入り混じるベトナム戦争時代のアメリカを訓練学校とベトナムという二つの場面で描く傑作。

あらすじ:

ベトナム戦争時、アメリカ海兵隊に志願した青年たちは、サウスカロライナ州パリス・アイランドの海兵隊訓練キャンプで厳しい教練を受ける。キャンプの鬼教官・ハートマン先任軍曹の指導のもとで行われる訓練は、徹底的な叱責と罵倒、殴る蹴るの体罰が加えられ続けるという、心身ともに過酷を極めるものだった。

コメント:

(これより先ネタバレを含みます)

キャラクター、雰囲気、そして何よりセリフがずば抜けたこの映画は、いろんな意味で大きな知名度を誇っている。大きく分けて訓練学校とベトナムの二つに場面が分かれている。この映画を紹介するときによく取り上げられるのはいずれも訓練学校のシーンがほとんどではないだろうか。

訓練学校時代はまさに狂気の連続で描かれている。言わずと知れた鬼教官、ハートマン軍曹の口から飛び出す罵声はどれもこの映画を代表する名言になっており、映画だけでなくハートマン自身の知名度の上昇にも貢献した。どのセリフも口汚く、記事に書けない程下品かつ乱暴であり、原語にきわめて忠実なのは、キューブリック自身が卑猥な表現をぼかさず書くことを求めたというのが理由である。ちなみにランニングのシーンで歌っている行進曲はハートマン役のリー・アーメイ自身による作詞とのこと。

ハートマンの演技も迫力があるが、「ほほえみデブ」ことレナードの演技も中々光るものがある。初めは精神的にも肉体的にもだらしない人物として描かれ、ジョーカーに靴ひもの結び方を教わる様子はどこか無垢な子供のようにも見えてしまう。そんなレナードが徐々に精神に異常をきたしていく様子は鬼気迫るものがあり、ハートマンを射殺した時の眼や薄ら笑いはまさに狂気そのものである。レナード役のヴィンセント・ドノフリオの演技に驚かされた。『LAW&ORDER:犯罪心理捜査班』や『メン・イン・ブラック』でも全く違う演技を見せるヴィンセント・ドノフリオだが、レナード役の演技を見て改めて彼の演技の幅広さに驚かされる。

訓練学校卒業後は展開が少し落ち着く。訓練学校がまるで刑務所のように描かれているのに対し、ベトナムでは女を買い街を闊歩できるなど、新兵にとって自由そのもののように描かれていて、むしろハートマンの元を離れたベトナムの方が自由であるように感じさせる。しかし地獄は続いており、規律と訓練にまみれた地獄から戦場という地獄へと突入する。

戦争の狂気で倫理観を失う戦友、そんな戦友を失っていく悲しみ、そして人を殺すことへの葛藤が描かれていく。中盤では、戦況の変化もあり、『地獄の黙示録』のように敵を殺して勝利に拍手喝采する虐殺者として描かれることはあまりなく、狂気より悲壮の色が強くなっていく。国のために戦う、仲間を救いたくて敵を殺す、そういった同調できなくもない感情が入ってくるのは『プラトーン』などに通じるものがあり、ベトナム戦争独特の世界観がジョーカーの目を通して伺える。そしてEDで流れる、ローリング・ストーンズの『Paint It, Black』はこの映画に非常によく合っている。

おぞましい光景の連続なのに見ていると自然と真顔になっていく。そんな映画である。

映画紹介『フルメタル・ジャケット』” への6件のフィードバック

    1. (ネタバレになってしまって)スマナイトオモッテイル。今度から見やすい所に「ネタバレ注意」の掲示をして血で赤く染め直しておこう……。

  1. 彼は元海兵隊員の偉大なる御方だぁ!その彼、声優やグロック社のオフィシャル・スポークスマンでもあるぜぇ。
    ガニー軍曹のミリタリー大百科何か見た時は興奮すら憶えるぜ・・・

  2. 喪黒福造(CV.玄田哲章)の「笑ゥせぇるすまんNEW」が放送開始しました。ぜひ「笑ゥ鋼鉄マンNEW」(仮題)の作製をお願い致します。

    1. もう誰かが作ってるので見て来いカルロ!期待に応えられずスマナイトオモッテイル。代わりにこちらはどうでしょうwww「ひなこのーと」のMADのひなこ暴徒ですぅ!www(ニコニコで見て来いカルロ!)

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