映画紹介『最強のふたり』

最強のふたり サムネ

おすすめ度:★★★★★

月並みだがあえて言おう、最高に泣いて笑える作品であると! とにかく面白く、退屈などさせないテンポの良さが素晴らしいフランスの傑作映画。

2011年のフランス映画。ストーリーや音楽のセンスが抜群で、アメリカ映画とは違った雰囲気が味わえる。重すぎず明るく笑える作品なので、みんなで見るのにもおすすめ。誰と見ても絶対に外れないこと請け負い。主演はフランソワ・クリュゼ(『フレンチ・キス』)とオマール・シー(『ジュラシック・ワールド』)。原題は『Intouchables(触れることのできないもの)』。

 

あらすじ:

パリのとある豪邸で介護人の面接が行われていた。邸宅の持ち主であり富豪のフィリップは、頸椎損傷により首から下の感覚を失い体を動かすことが出来ないため、秘書のマガリーと新しい介護人を探していた。何人もの介護人候補者が訪れるが、気難しいフィリップは気に入らなかった。そこにドリスという青年がやって来る。彼は失業保険を受けるのに必要な、面接に落ちたことを証明する書類へのサインをもらう為だけにやって来たのだった。礼儀を知らないドリスは、無礼な態度に無神経な発言を繰り返すが、フィリップはそんな彼のはっきりとした性格を気に入り、介護人として雇うことにする。障害者である自分を特別扱いしないドリスにフィリップは心を開き始め、二人は次第に仲を深めていく。

コメント:

いきなり余談だが、ドラマのジャンル、しかもフランス映画を紹介するのは初めてになると思う。知人からアクション映画オタクと呼ばれるくらいには年がら年中アクションばかり見ているが、たまにこういうヒューマンドラマのジャンルにも手を出したりする。アクション以上に当たり外れの読みが利かないジャンルなだけに半信半疑で見たのだが、これがとんでもない大当たり。ここ最近で見た映画の中では一番の作品。この作品に出会ったことをきっかけにもっとドラマのジャンルも発掘しようかと思った程である。ちなみに、フランス映画だからといってフランス人にしか分からない空気の作品ではないのでご安心を。大衆映画然とした、普段映画を見ない人にも親しみやすい造りになっている。

フィリップとドリスのデコボココンビを見守り、それに微笑みまくる映画。前述の通り、ジャンルはドラマだが抜群に面白く、全く退屈しない。コメディーに匹敵する程面白いと言ってもいい。最初は慣れない介護に戸惑うドリスが、フィリップの生活を間近で感じることで距離を縮めていくのがとても面白い。誰も障害者である自分と深く関わろうとせず、気を遣われ距離を取られることに辟易していたフィリップの心に、ドリスは土足で踏み込んでいく。絵をけなし、恋愛に口を出し、娘の躾に文句を言う。そんなドリスなりのやり方をフィリップは受け入れ、ドリスもまたフィリップに興味を持ち理解しようとする。不器用に深まっていく二人の友情は「Intouchables(触れられないもの)」なのだ。問題を抱えるドリスの弟のことを思い、ドリスを介護から解放するフィリップだったが、ドリスのいない生活に耐えられなくなっても決してドリスを頼ろうとしない。介護人を困らせていた気難しい屋から大きな心境の変化を遂げたフィリップ。そして気付けば隣にいるドリスの存在に安心を覚えるフィリップを見ていると、二人にはいつまでも幸せに暮らして欲しいと思えてくる。離れていても通じ合う二人の絶妙な絆、それは友情であり家族愛であるというのがこの映画のテーマである。

構成に関していえば、ストーリーに演出、音楽とそれぞれが優れている。ドリスのキャラクターもギリギリながら下品過ぎず、他の使用人の存在もちゃんと拾っていて、結末も気になるところで締めくくられていて、間延びせず尻切れトンボにもならない絶妙な幕引きになっている。フィクションにしても十分な出来だが、これが実話であるというのが驚きである。オープニングで警察に誘導されながら病院へ向かう場面で流れる「September」、ドリスのおすすめの曲「Boogie Wonderland」。この二曲が特に映画の世界観にマッチしていて、とても良い。

長くなってしまったが、とにかく素晴らしい作品なのでまず一度見てほしい。「ドンパチ映画以外はただのカカシですなぁ」という組合員にもおすすめしておく。あんたらも絶対楽しめると思うので、見て来いカルロ!

映画紹介『最強のふたり』” への2件のフィードバック

  1. はぇ~この映画見た事ないんだよなぁ…見る限りおもしろそうですな!
    フランス映画で思い出したけど「タイピスト!」や「ニキータ」も良い感じだ!

    度重なるオススメで申し訳ないと思ってる。だがベネットの供養の為だと思ってくれ! OK?

    1. OK!!(ズドンッ
      「ニキータ」は名作だよ、もう大物になってる。「タイピスト!」、面白そうな作品だなマヌケェ・・・。戦後のフランスってのはいいもんだよなぁ、「シェルブールの雨傘」は好きだ。今後もおすすめのフランス映画を紹介していくつもりなので、お~い待っててくれぇ~。

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